「追徴課税」が免責になる方法はまずありません!例外もなく、自己破産をしても免責にはなりません。ただし、救済措置があるので解説いたします。
「追徴課税」とは、納税義務者(法人・個人)が正しい税額を申告・納付しなかった場合に、差額分を支払う税金のことを言います。
追徴課税は税務調査により発覚する場合も多く、その額は決して安くはありません。
正しく申告・納税していれば心配ありませんが、税務調査が心配な方などは追徴課税について知っておいて損はありません。
そこで、今回は追徴課税について解説していきます。
そもそも税務調査とは?
そもそも、税務調査とはどんな調査で、なぜ行われるのでしょうか?
まずは、税務調査の概要を簡単にご説明いたします。
![](https://suspla.com/wp-content/uploads/2024/08/税務調査.jpg)
税務調査の目的
税務調査とは「確定申告の内容が正しいか」「正しく納税をしているか」を確認するために、国が実施している調査のことです。
納税者の不正行為や悪質な税金逃れ(脱税)がないかを最も重視しています。
税務調査の概要
国税局や税務署の職員(税務調査官)が会社に出向いて、申告した税額に計算ミスや虚偽・不正がないかを調査します。
【税務調査の流れ】事前通知→実地調査→調査結果
※調査の結果、指摘事項があれば修正申請を行い、納税額に不足があれば追加で支払います(払い過ぎの場合は還付申請を行います)
【税務調査の範囲】業務に関する全ての事項 ※ヒアリングも実施。
【調査の対象期間】一般的には過去3年間分(場合によっては5年間。最長7年間。)
追徴課税とは?
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追徴課税とは、正しい税額を申告・納付しなかった場合に、差額分を支払う税金のことを言います。
では、実際に追徴課税はいくらぐらいになるのか?注意点なども合わせて確認していきましょう。
令和4事務年度の追徴課税額
各調査による1件あたりの平均追徴税額は以下のようになり、決して安くないことが分かるかと思います。
・所得税:1件あたりの追徴税額 約219万円
・消費税:1件あたりの追徴税額 約132万円
・法人税:1件あたりの追徴税額 約301万円
・相続税:1件あたりの追徴税額 約816万円
追徴課税の注意点
・原則、一括払い。
・支払いは現金のみ。
・通知を受け取った翌日から1ヵ月以内に納付しなければなりません。
附帯税の種類
追徴課税は、差額分の不足税額に加えて、延滞税や利子税、各種加算税などの附帯税が課される場合もあるため注意が必要です。
納税が遅れた場合に課せられるペナルティで、法定納期限の翌日から完納する日までの日数に応じて、遅れた日数に応じて7.3%か14.6%の延滞税が課せられます。
※毎年税率が異なるため、確認しましょう。
期日までに納税できない場合、税務署に申告して申告書の延長が認められた時は、その期間に応じて利子が課せられます。
期限までに申告・納税した額が本来の納税額より少なかった場合に課される追加税のペナルティです。
過少申告加算税の金額は、新たに納めることになった税金の10%~15%の相当額です。
期限までに申告・納税しなかった場合に課される追加税のペナルティです。
本来納めるべき税額に加えて、15%~30%の無申告加算税が課せられます。
申告・納税で仮装や隠ぺいがあり悪質な場合に課される追加の税金。
贈与されたことを隠していた場合などは35%または40%の重加算税
故意に申告しなかった隠蔽したなど、悪質だと判断された場合に、「無申告加算税」・「過少申告加算税」に加えて課せられる最も重いペナルティです。
追徴課税が払えないとどうなる?対処法は?
昨年の追徴課税の平均額からも分かるように、一括現金払いができない方もいらっしゃるかと思います。
では、追徴課税が支払えない場合はどうなるのでしょうか?対処法も含めて見ていきましょう!
財産の差し押さえ
追徴課税は納付期限が過ぎたり、納付せずに放置していると、
➡︎ 督促状が届きます。
➡︎ それでも納付をしない場合は、最終的には財産が差し押さえられることになります。
すなわち、財産の差し押さえと追徴課税の支払いが強制される可能性があります。
<差し押さえられる財産の例>
・銀行口座
・預貯金、給与や金融資産
・不動産や車
・保険
自己破産では免責にならない
追徴課税が払えないなら「自己破産をして免責にすれば良いのでは?」と考えた方はいませんか。
答えはノーです。追徴課税は自己破産しても免責にはなりません!
追徴課税を含む『税金』は、自己破産しても免責にならない『非免責債権』に該当し、自己破産が認められても支払う義務があります。
ただし、法人が自己破産した場合は、手続きが完了すると会社が消滅するため、法人税などの追徴課税は免責にすることができます。
キーワード解説▶️【非免責債権】
自己破産をしても免責の対象とならないもので、「税金」「罰金」「国民健康保険料」「国民年金保険料」などがあります。自己破産しても支払う義務があります。
救済措置『納税猶予制度』
追徴課税は免責になることはありませんが、救済措置として『納税猶予制度』があります。
追徴課税の支払いについては金融機関からの融資を受けにくいと言われており、万が一、納付期限内に追徴課税を納められない場合は、この猶予申請を活用することができます。
納税猶予制度には、「換価の猶予」と「納税の猶予」の2種類がありまので、確認しておきましょう。
①差し押さえられた財産の売却 ②新たな財産の差し押さえ を待ってもらえる制度です。
「換価の猶予」が認められると、❶追徴税額を1年かけて分割で納税(分納)が可能となり、❷猶予期間中の延滞税の全額または一部も免除されます。
換価の猶予を受けるためには、担保の提供があることなど厳しい条件を満たす必要があります。
追徴課税の納税を待ってもらえる制度です。
「納税の猶予」が認められると、❶追徴税額を1年かけて分割で納税(分納)が可能となり、❷猶予期間中の延滞税の全額または一部も免除されます。
※正当な理由があれば、最大2年間まで延長してもらうことも可能です。
納税の猶予を受けるためには、「自然災害や盗難」「病気や負傷」などの理由や担保の提供があることなど、厳しい条件を満たす必要があります。
『相続税』の追徴課税と時効
![相続税 税務調査 時効 7年](https://suspla.com/wp-content/uploads/2024/10/27768039_s.jpg)
実は、税務調査の中でも相続税は、法人税や所得税などと比べて調査が来やすい税目だと言われています。実際に、税務調査に入られる割合は、法人税や所得税の約4~10倍になります。
さらに、相続税は追徴課税の割合も非常に高く、令和4年度の税務調査では85.8%が追徴課税の対象になっており、税務調査が入ったらほぼ追徴課税が生じています。
※参照:国税庁発表「令和4事務年度における相続税の調査等の状況」
相続税の税務調査の時期
相続税の税務調査は、被相続人が亡くなった翌年または2年後が多く、調査の時期は夏から秋(8月〜11月)が一般的です。
相続税の時効
相続税の納税義務には時効があり、被相続人が亡くなってから最大7年経過すると消滅時効が成立します。
ただし、被相続人が亡くなったことを知らなかった場合(善意と認められた場合)は、5年で消滅時効が成立します。
まとめ
正しく申告・納税をしていれば「追徴課税」の心配をする必要はありません。
しかし、わざとではなくても間違えたりミスをすることもあり、内容によっては「追徴課税」が生じる可能性もあるかと思います。
まずは知識をつけ、必要に応じてプロである税理士に相談しましょう!
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