税務調査は、多くの法人・個人にとって気になる不安なテーマですが、実は10年以上税務調査が来たことがないケースも存在します。
一般的に税務調査は4~5年に一度来るとも言われている中、長期間調査を受けない法人・個人の条件や背景を解説します。
税務調査は適切な経理管理や申告を行うことでリスクを最小限に抑えることができます。安心してビジネスを運営するために、ぜひ最後までお読みください。
税務調査とは?
税務調査とは、納税者が正しく税務申告を行なっているか=「確定申告の内容が正しいか」を確認するために国が実施している調査のことです。
申告した税額に計算ミスや虚偽・不正がないかを調査して確認します。

目的
税務調査が行われる目的は、公正で適正な申告納税制度を維持することです。
納税者の不正行為や悪質な税金逃れ(脱税)がないかを最も重視しています。
なお、不正があった場合には追加の税金の支払いなどのペナルティが科されますが、正しい申告が確認できればペナルティは発生しません。
キーワード解説 ▶︎ [ 申告納税制度 ]
日本の税金は、納税者の一人一人が、自ら税務署へ所得等の申告を行うことにより税額が確定し、この確定した税額を自ら納付する制度=申告納税制度を採用しています。
調査の概要
税務調査は法人だけでなく、個人事業主も対象です。
国税局や税務署の職員(税務調査官)が会社に出向いて、申告した税額に計算ミスや虚偽・不正がないかを調査します。
【税務調査の流れ】
事前通知 ➡︎ 実地調査 ➡︎ 調査結果
※ 税務調査の日数に特に決まりはなく、一般的には1〜3日程度とされています。
調査結果が出るまでの期間は、通常1週間〜3ヶ月程度です。
※ 調査の結果、指摘事項があれば修正申請を行い、納税額に不足があれば追加で支払います(払い過ぎの場合は還付申請を行います)
【税務調査の範囲】
業務に関する全ての事項が調査対象となります。
主に以下の調査を行います。
✔️ 確定申告の際に提出した書類(申告書類・添付書類・領収書等)とそれに関連する書類や通帳などのチェック
✔️ 商品等の棚卸の確認
✔️ 会社や事業、資金繰りに関するヒアリング
【調査の対象期間】
調査対象となる期間は基本的に3年間ですが、場合によっては5年間、最長で7年間まで対象となることがあります。
税務調査が入る確率は?
【令和4事務年度の税務調査実績】1
[ 実地調査件数 ]
法人:6万2千件(前年比152.3%)
個人:2万5千件(前年比150.9%)
[ 追徴課税額 ]
法人:3,225億円(前年比139.8%) ※平均524万円
個人:336億円 (前年比139.4%) ※平均132万円
前年比を見るとびっくりしますが、ここ3年はコロナの影響で例外的な件数となっているためです。
コロナ前の令和元年は「法人:9万件、個人:3万件」が実施されており、今後はコロナ前またはそれ以上の調査件数になると予想されています。
- 参照:国税庁より2023年11月に発表
①令和4事務年度 法人税等の調査事績の概要
②令和4事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について ↩︎
キーワード解説 ▶︎ [ 追徴課税 ]
追徴課税とは、納税額に誤りや不足があった場合に、差額を補填するために支払う税金です。
追徴課税の対象には「不足税額」「滞納税」「利子税」「加算税」があります。
【税務調査が入る確率】

先に挙げた令和4事務年度では、法人・個人共に約2%の確率です。
一般的に法人は1.5%〜3.0%、個人は0.5%〜2.0%とされています。
・税務調査を行ったうち、調査官から指摘が入る確率:約80%
・税務調査を行ったうち、追徴課税の対象となる確率:約20%
また税務調査が来る頻度は、4~5年に1回程度が平均とされています。
税務調査が入りやすい時期は?

税務調査が来る時期や期間が決まっていれば良いのですが、時期に決まりはありません。
しかし、税務調査が来やすいと言われている時期がありますのでみていきましょう。
〔8月後半〜11月中旬〕
税務調査官が所属する国税局や税務署の人事異動が例年7月10日に行われ、人事異動後に調査が増える傾向にあります。
〔4〜5月〕
確定申告の期限が3月のため、確定申告終了後に調査が増える傾向にあります。
税務調査が入りやすいと言われる法人・個人の特徴は?
10年税務調査が来ていない場合もあれば、2・3年に1度税務調査が来ることもあります。
「これをすれば税務調査が来ない」と言う方法はまずありませんが、税務調査が入りやすいと言われている条件がいくつかありまので法人・個人それぞれについてみていきましょう。
【 法人 】
- 無申告
- 現金商売をしている
- 過去に税務調査で指摘を受けた
- 利益の変動が大きい
- 不正発覚の多い業種(パチンコ、バーやクラブ、土木工事、再生資源売却、廃棄物処理など)
【 個人 】
- 無申告
- 現金商売をしている
- 売上を1,000万円以下が続いている
- 経費計上が多い
- 顧問税理士がいない
税務調査の対策
10年以上税務調査が来ていないからと言って税務調査が入らないとは言えません。
税務申告をするのは大前提ですが、以下のことにも気をつけましょう!
・確定申告を正しく行う。
・事業に関わる資料や書類の保管を徹底する。
・税理士に依頼する。(できれば税務調査に強い税理士)
万が一、税務調査が心配な方は、税務調査対応のプロにご相談するのが安心です。
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