会社経営者や個人事業主など、事業をされている方は「税務調査」と聞くとドキッとしませんか?
しかし、税務調査について正しく理解している方は意外と少なく、他人事だと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
税務調査は正しく理解し、備えておけば恐れる必要はありません。
そこで、まずは知っておきたい税務調査の基礎知識を、前編と後編に分けて解説いたします。
税務調査とは?
税務調査とは、納税者が正しく税務申告を行なっているか=「確定申告の内容が正しいか」を確認するために国が実施している調査のことです。
申告した税額に計算ミスや虚偽・不正がないかを調査して確認します。

目的
税務調査が行われる目的は、公正で適正な申告納税制度を維持することです。
納税者の不正行為や悪質な税金逃れ(脱税)がないかを最も重視しています。
なお、不正があった場合には追加の税金の支払いなどのペナルティが科されますが、正しい申告が確認できればペナルティは発生しません。
キーワード解説 ▶︎ [ 申告納税制度 ]
日本の税金は、納税者の一人一人が、自ら税務署へ所得等の申告を行うことにより税額が確定し、この確定した税額を自ら納付する制度=申告納税制度を採用しています。
調査対象
税務調査は法人だけでなく、個人事業主も対象です。
会社員などで会社側が納税の手続きをしている個人は、基本的に対象外です。
しかし、フリマサイトやブログ、動画などの収益をはじめ、副業収入がある場合は調査対象になりますのでご注意ください。
また、調査を行うのは国税局や税務署の職員で “税務調査官” と呼ばれています。
調べる内容

税務調査では、主に以下の調査を行います。
✔️ 確定申告の際に提出した書類(申告書類・添付書類・領収書等)とそれに関連する書類や通帳などのチェック
✔️ 商品等の棚卸の確認
✔️ 会社や事業、資金繰りに関するヒアリング
また、調査対象となる期間は基本的に3年間ですが、場合によっては5年間、最長で7年間まで対象となることがあります。
調査日数
税務調査の日数に特に決まりはなく、一般的には1〜3日程度とされています。
調査結果が出るまでの期間は、通常1週間〜3ヶ月程度です。
調査の種類
税務調査は大きく分けて「強制調査」と「任意調査」の2種類があります。

一般的には、「予告調査」と言われる税務署から事前通知が来てから調査が行われます。
『突然、税務調査に来た!!』と言われるのが「無予告調査」のことで、皆さんが一番恐れている調査かと思います。「無予告調査」は現金取引が行われている業種に多いと言われています。
税務調査の実態
【令和4事務年度の税務調査実績】1
[ 実地調査件数 ]
法人:6万2千件(前年比152.3%)
個人:2万5千件(前年比150.9%)
[ 追徴課税額 ]
法人:3,225億円(前年比139.8%) ※平均524万円
個人:336億円 (前年比139.4%) ※平均132万円
前年比を見るとびっくりしますが、ここ3年はコロナの影響で例外的な件数となっているためです。
コロナ前の令和元年は「法人:9万件、個人:3万件」が実施されており、今後はコロナ前またはそれ以上の調査件数になると予想されています。
- 参照:国税庁より2023年11月に発表
①令和4事務年度 法人税等の調査事績の概要
②令和4事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について ↩︎
キーワード解説 ▶︎ [ 追徴課税 ]
追徴課税とは、納税額に誤りや不足があった場合に、差額を補填するために支払う税金です。
追徴課税の対象には「不足税額」「滞納税」「利子税」「加算税」があります。
税務調査に入る確率

先に挙げた令和4事務年度では、法人・個人共に約2%の確率です。
一般的に法人は1.5%〜3.0%、個人は0.5%〜2.0%とされています。
・税務調査を行ったうち、調査官から指摘が入る確率:約80%
・税務調査を行ったうち、追徴課税の対象となる確率:約20%
税務調査が入りやすいと言われる法人・個人
税務調査の対象は無造作に選ばれていますが、過去の実績から税務調査が入りやすいとされる法人や個人の条件がいくつかあります。
【 法人 】
- 過去に税務調査が入った
- 勘定項目の金額の増減が大きい
- 継続的な赤字から黒字になった
- 好況な業種や不正発覚の多い業種
- パチンコ、バーやクラブ、土木工事、再生資源売却、廃棄物処理など
【 個人 】
- 税務申告をしていない
- 勘定項目の金額の増減が大きい
- 継続的な赤字から黒字になった
お役立ち情報
万が一、税務調査が心配な方は、税務調査対応のプロにご相談するのが安心です。
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