【税務調査の基礎知識 〜前編〜】では税務調査とは何か?対象は?会社に税務調査が入る確率は?入りやすい会社は?などについて解説しました。
今回の後編では、実際に税務調査が入る時の流れや調査時の注意点、もしも税務調査が入った時のための対策や備えについて解説します。
税務調査の流れ
税務調査には「強制調査」と「任意調査(無予告調査・予告調査)」があります。
税務調査の種類については【税務調査の基礎知識〜前編〜】にてご確認ください。
ここでは一般的な「任意調査(予告調査)」の流れを解説します。
注意点
- 調査は拒否できない
納税者には国税局や税務署に対応する義務があり、調査の辞退や拒否はできません。 - 日程を変更または調整は可能
電話で通知を受けた際には、日程について即答せずに「税理士へ確認して折り返します」と伝え、顧問税理士と相談して日程を決めるのも一つです。
できれば顧問税理士にも当日に立ち会ってもらうとより安心です。
顧問税理士がいない場合は、税務調査の相談・立ち合いをしてくれるサービスを利用するのもおすすめです!
実地調査への備え
- 必要書類の準備
原則として、事前通知で「対象となる項目、期間、帳簿書類、その他必要なもの」の通知がありますので、必要資料を揃えておきましょう。
✔️ 契約書や領収書、請求書、預金通帳、パソコン内のデータなども整えて準備しておきましょう。
✔️ 調査時に必要と判断された書類は、調査官が一時預かる場合もあるためコピーを取っておきましょう。
※ 調査対象となる期間は基本的には3年間(3期分)です。(場合によっては5年。最長で7年間まで対象となります。) - 顧問税理士との打ち合わせ、事前確認
✔️ 顧問税理士がいる場合には打ち合わせを行い、調査をスムーズに受けられるように準備をしておきましょう。
✔️ 事前に聞かれそうなことを予測して回答を準備しておきましょう。 - 税務のプロに相談
個人事業主など顧問税理士がいない場合は、税務調査に詳しい税理士に早急に相談することをおすすめしますします。
なぜなら、税理士でも税務調対応は難易度が高いため、ご自身だけで対応するのはリスクが高くなります。
✔️ 税務調査当日の立ち合い対応もしてくれる心強い税理士を味方につけましょう。
税務調査でチェックされやすい項目とポイント
【 ヒアリング 】
雑談に注意!
一見すると事業と関係のない雑談をすることがあるかもしれませんが、その際も調査の資料として記録されることがあります。必要以上に話しすぎないように気をつけましょう。
【 書類の確認 】
税務調査の目的は、確定申告の内容(納税)が正しいかどうかを確認することです。
そのため、プラスになる「売上・資産など」とマイナスになる「仕入れ・経費など」の、ミスや不正が多い項目が重点的にチェックされます。
一般的に指摘されやすい項目の例をいくつかご紹介します。
- 売上
・計上時期に期ズレがないか?
・計上漏れがないか?
・仕入れとの対応は適切か? - 資産
・在庫など棚卸資産に計上ミスはないか?
・車や機械設備など高額資産を一括計上していないか? (特に10万円以上の消耗品や修繕費) - 仕入れ
・計上時期に期ズレがないか?
・計上漏れがないか?
・売上との対応は適切か? - 経費
・売上に対する伸び率が妥当か?
・私的な支払いはないか?
・[交際費]が適切に計上されているか?
・[人件費]の架空計上はないか? - その他
・[寄付金]が正しく計上されているか?(適用条件を満たしているか?)
・[印紙税]の印紙が未添付はないか? ※未添付の場合、印紙税額の3倍のペナルティが発生。
指摘が入った時の対応
税務調査の結果、申告内容に問題がなければ「申告是認通知書」が書面で届き、調査は終了します。
しかし、悪意がなくてもミスや計上漏れなどが指摘されることもあります。
調査により申告した税額が不足しているか・払いすぎているかで手続きが異なります。
【 修正申告 】
申告した税額が不足していた場合、あるいは還付される税金が多かった場合に行う手続きが「修正申告」です。
調査官から指摘事項の説明を受け、指摘された箇所を修正した確定申告書を再作成して、税務署に提出します。
また、不足分の税金や必要に応じて滞納税や過少申告加算税などを納めます。
【 更正の請求 】
レアケースではありますが、申告した税額が多すぎた場合、あるいは還付される税金が少なかった場合に行う手続きが「更正の請求」です。
更正の請求書を作成して、必要書類を添付のうえで税務署に提出します。
請求内容が認められれば、税金の還付を受けることができます。
類似キーワード解説【更正処分】
「修正申告」「更正の請求」は納税者が訂正手続きを行うのに対して、税務署が申告内容の訂正を行う手続きが「更正処分」です。
稀ではありますが、納税者が税務署の指摘事項に納得できず、修正申告に応じない場合に、税務署が行う処分です。
更正処分により、納税者には重加算税などのペナルティが課せられる場合があります。
まとめ
前編・後編と2回にわたり税務調査の基礎知識を解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
税務調査に怯える必要はありませんが、少しでも知識を持っていると、いざという時に役立つ情報かと思いますので参考にしていただければと思います。
顧問税理士がいらっしゃる方は一度、税務調査について話しておくのもいいかもしれませんね。
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